あるところに漁師たちがよく利用する宿があり、そこでは大きな猫を飼っていた。ある年、宿で客に振舞うはずの魚が頻繁に無くなるので、怪しんだ主人と漁師の一人が深夜見張っていると、あの猫が盗んでいたのでした。その夜、漁師が寝ていると、天井の梁に光るものが見えた。猫が包丁を咥えて自分を見下ろしていたのだ!「ナァ~ゴ」低く一鳴きしたと同時に切っ先が漁師目掛けて飛んできたのを間一髪かわすと、今度は猫が飛びかかってきた。漁師は銛で猫を突き殺し、翌朝 宿の庭に亡骸を葬ったのだった。。
翌年の冬、漁師が宿を訪れると、主人が庭で採れたと言う季節はずれの南瓜を振舞ってくれた。しかし、漁師の銀の箸が南瓜の煮つけに触れた途端、真っ黒に変色したため(銀は毒気に触れると変色する)、食べるのを止め南瓜が急に生えてきたという庭の土を掘り返しに行ってみると 南瓜は猫の骸の真っ赤にひらいた口から生えていたのだった。猫が漁師への怨みから、その身より猛毒の南瓜を実らせたのだ。
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