【絡新婦】じょろうぐも

女郎蜘蛛とも。石燕の「画図百鬼夜行」では、火を吹く子蜘蛛達を操る蜘蛛女の姿で描かれている。美しい女性に化けて人間に近づき、喰い殺してしまう。芸者女の姿で三味線の弦が蜘蛛の糸に変わり、絡め取られてしまうとも。 


また深い淵や滝壺に棲む者もいるとされ、伊豆・浄蓮の滝の絡新婦は有名である。 キコリが切り株に腰掛けて休んでいると、どこからともなく小さな蜘蛛がやってきて足に糸をかける。これに気付かないでいると、滝壺にいる絡新婦に引きずり込まれてしまうという。(類話:賢淵)


実在するジョロウグモという種の蜘蛛はメスに比べてオスは小さく、カマキリ同様 交尾の最中、またはそれに至る前にメスに捕食されてしまうことがある。そうした蜘蛛の生態と、女性の持つ恐ろしい一面とが重なって産まれた妖怪かもしれない。